暖かくなったり寒くなったり、しばらくは一進一退の早春です。体調を崩しやすい季節がつづきます。外出すると風邪をもらう恐れがあるとはいえ、室内にこもってばかりで陽光に当たらないのも考えもの。
竹林へ。美しい竹林は、自然の力だけではなく、絶えず世話をする人の手で作られます。よく整えられた孟宗竹の竹林では、もうじき筍も生えてくるころ。
日本の竹が、かつてのように日本でよく必要とされ、よりよく用いられることで、荒れた竹薮も少しずつ美しい竹林になりますように。
竹と梅とは、松竹梅の組み合わせからも関わりようが窺えるものですが、竹林で仕事をする人の手を介しての竹と梅との関わりもあります。
竹林で竹を伐り出すときは、樹木の林業のようにチェーンソーをつかうのではなく、おもに鉈がつかわれます(鋸の場合も)。竹の根元に向かって、方向を変えながら幾たびか鉈が振り下ろされ、名人の手によって切り倒された竹の根元には梅の花のような美しい痕跡が残ります。
根元を梅花形に残すことから、ついた名前が「梅花伐り」。野外での重労働のなかにも、こうした風流な名前がつけられるところに、日本の文化、竹の文化に通底する独特の美意識が垣間見えます。
梅といえば「梅に鶯」という取り合わせも。実際に身近でよく目にするのは「梅にメジロ」のことが多く、鶯は声はすれども姿を見せることはずっと稀です。今年もたくさんのメジロが蜜をもらいに梅の花へ。
メジロはスズメよりも小さな体をしているわりには、それほど臆病にも見えず、よく日のあたるところで堂々と蜜を吸っています。そのかわりに、絶えずちょこまかと動き回って、ときどきあたりを警戒するような仕草も。動きのはげしいぶん、蜜もたくさん必要になるでしょうか。なかなか活発な野鳥です。
二月は苦手の季節ですが、動きを止めていた生命たちが、もうじきの春を目指して、すこしずつ動き始めるのを感じます。