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仕事を通じて心は旅する

 

 小さな寸法の茶杓。これを私は旅茶杓と呼称しています。

 

 もともと茶箱に組むために削っていました。やがてもう少し広く、茶箱でなくとも旅に携える小さな茶杓として削るように。


煤竹旅茶杓 竹工芸家 初田 徹 作
煤竹旅茶杓 初田 徹 作

 そして案外、どこへも出かけず室内で茶を喫するにも具合の良い道具で、昨今の世においては、体は此処においたまま、心だけを何処かへ旅させるための旅券にも思えてきます。

 

 あるいは本当のところ、そんな空想をする作り手の私自身こそが、削りながらに旅するための道具なのかもしれません。

 

 2月の下旬頃、小さなオンライン展を此処で行います。