一雨ごとに春へ。二月も下旬に差し掛かって、暖かな日和が多くなりました。来月以降は展示も再開の予定で、仕事のペースも上げてゆきたいところ。
手元の竹を一本ずつ手に取って、どう形にしようか、竹と向き合う時間も長くなります。竹の色味が経年でどう変化してゆくのか、写真で見てゆきましょう。
竹林から青竹を伐り出しておいたままでは、白い肌の竹にはなりません。しだいに竹の中の成分が変質し、斑らな色味になってしまいます。(青竹も薄く割いて籠にすれば変質しません。青竹の籠が育つのも、独特の魅力ですね)
人の手で適切に管理されて傷がつかぬよう育てられた竹に、適切な技術を用いて数ヶ月の手間暇をかけることで、冬に伐った竹が初夏に白い竹に育ちます。白竹にすることで、長期間の保管が可能になり、さらに寝かせて、作品になる時を待ちます。
下の竹は、左が5年ほど経過した白竹、真ん中は15年ほど寝かせた白竹、右端は古民家の材として使われていた煤竹で、おそらく150年以上は経過したもの。私の手元でも何年か過ごした煤竹です。もとは、すべてマダケです。
右端の煤竹は長期間にわたって人と生活を共にし、囲炉裏から立ち上る煙で燻されたことにより、ほかの二本よりもずっと濃い色味になっています。煙の当たったところと、そうでないところで色味に大きな差があり、明るい部分は真ん中の白竹と大差ない色です。
真ん中の白竹は、かなり黄味がかっています。私の仕事場で寝かせていたもので、特別な加工をしたわけではなく、自然な色の変化です。左の白竹とはだいぶ印象が異なります。
左の白竹は、ほかの二本に比べると明るい色味ですが、やはり年々すこしずつ色が変わります。清潔感のある素直な色味で、これもまた魅力的な肌色です。
たとえば竹が籠になった時、はじめから育った色味のものを選ぶのもよし。あるいは、手元で育ててゆく楽しみもあります。上の写真のように、十年以上経過すると、はっきりした変化が見えてきますし、環境によっても変化の具合は大きく変わります。
竹は植物の繊維ですので、水に濡らしたり、つよい日光に当てると徐々にダメージを受けます。傷めないよう気をつけて、大事に扱うことで、竹を美しく育てることができます。