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見る割る選ぶ削る磨く。煤竹菓子切り ささのは

 

 こんにちは。あっという間の四月でした。

 

 煤竹菓子切り「ささのは」。先日の個展で手元の在庫がなくなりましたので、また一から削っています。5月2日からはじまる、人形町のよし梅 芳町亭でのグループ展「うるわしいもの」に展示できるよう。

 

 19世紀の古民家の古材である煤竹を素材に、鉈でこまかに割り、まず下の写真のような小片を幾つも用意します。


鉈で煤竹の小片をつくります
鉈で煤竹の小片をつくります

小刀で笹葉形の輪郭に削ってゆきます
小刀で笹葉形の輪郭に削ってゆきます

さらに輪郭を整え煤竹の裏面も削ります
さらに輪郭を整え煤竹の裏面も削ります

 2枚目の写真。用意した煤竹の小片から、形と景色のよいものを選び、小刀で輪郭を削ってゆきます。

 

 竹は案外と真っ直ぐではないもので、素材が小さくなるほどに誤差が大きく感じられます。歪みの大きなものや傷の目立つところなど、選別してから削りに入ります。命名の「ささのは」の姿を目指して。

 

 3枚目の写真。小刀でさらに輪郭を整えて、竹の裏面も削ります。竹の表の左側の刃は、菓子切りとして用いる際の目印の意味合いがおおきく、実際には裏面の削りが重要と考えています。表皮の刃付けもスーッと綺麗な弧を描いて削ることができれば満足。

 

 三種類のヤスリを順にかけて、最後に布で軽く磨いて完成です。

 

 小さな道具ながらも、意外に手間暇のかかるもので、素材も貴重な古材を用いるため、数多くはできません。竹の色味や凹凸など、素材の個性や癖を生かしつつ、できるだけ上質に、ある程度の時間内で完成させられるよう努めています。


煤竹菓子切り ささのは 竹工芸家 初田 徹 作
煤竹菓子切り ささのは 初田 徹 作

 煤竹菓子切り「ささのは」。十数点ほどですが、あらたに完成しました。5月2日よりのグループ展の会場でご覧ください。

 

○ 会期

2021年5月2日(日)~5日(水祝)

12:00~17:00

(最終日の5日は16:30まで)

 

○ 会場

よし梅 芳町亭

中央区 日本橋 人形町 1-5-2