京都、宇治の花屋さん「花 小森」で竹の花入の取扱いがはじまります。
まず、白竹を素材に「かたわら」と名付けた掛花入を納品しました。筒状の花入の口を「片」の字型に削り、花を入れる際の控えめな背景とし、また穿った小穴を細釘に掛けることができます。細い花入ですので、自立して用いることは意図していません。
たいへん美しい肌の白竹で、節の具合や全体のバランスは素材ごとに一点ずつ異なります。あたらしい私の定番になりつつありますが、簡素ながらもそれぞれに個性を持った一点ものの花入とお考えください。
細いガラス製のオトシが付属します。写真のように少しの花を入れる一輪挿しとして。
私としては、住まいに花を供えるような気持ちで、それでいて緊張しすぎず日々に使える花入になればと考えながら作りました。
この一年半余の世界は、なにかが欠けているような頼りない気持ちになる日々で、本来あったはずのもう片方の時間について考えます。その空白に花を入れる、あるいは片の字の切り欠きと切り欠きとがパズルのピースのように合わさって、空白が埋まってゆく時を想像して。
「かたわら」は漢字で記すと「傍ら」。あるいは「片端ら」とも。
この花入は、良い竹との出会いがあった時に少しずつ作ります。
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花 小森 京都府 宇治市宇治妙楽 144