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煤竹菓子切り「ささのは」。少し変わります

 

 こんにちは。街路の紅葉がまたすこし進んだようです。

 

 長く削りつづけている煤竹の菓子切り「ささのは」が少し変わります。実際には年々、日々、少しずつ変わりつづけているのですが、意識的に変えることについて。(少し前からすでに変わっています)

 

 素材として用いる煤竹の色味が少し変わります。今までよりも平均して濃いめの色になります。

 

 江戸時代に建てられた古民家から得られる古材の煤竹を素材に、これまでは明るい淡褐色から暗褐色まで、かなり幅広い色味の煤竹を用いてきました。


煤竹菓子切り「ささのは」 竹工芸家 初田 徹 作
煤竹菓子切り「ささのは」 初田 徹 作

 この一年半余り、自分の仕事の届けかたは大きく変わりました。求められるものの傾向も変わってきたと感じます。

 

 手作業で削ることのできる菓子切りの数には限りがあり、材料にも限りがあります。より多くのかたに求められる色味の竹に素材をやや絞ってゆくことにしました。

 

 煤竹の色味は囲炉裏の煙による経年の色味で、私が着色しているわけではありません。ですから、色見本をお示しすることは出来ませんが、今までよりも平均して少し濃い色の部分を用います。

 

 価格も変わります。また、今までは同じ「ささのは」ならば、基本的には個体差にかかわらず同じ価格で販売して頂いていましたが、お店ごとのお届けの仕方も様々になりましたので、定価はなくします。

 

 以前より自分自身では一点ものと考えて菓子切りを削ってきました。実際、色味だけでなく、竹のカーブや手触り、重さなど微妙に異なります。お届けする際には、あまり個別に扱うとかえって分かりづらいものですから、同じものとして唯一の定番としてきました。

 

 籠や茶杓、花入など、菓子切り以外の品は、もともと一点ものとして作っていますので、それらの品々の扱いに少し近くなると申しましょうか。

 

 私の仕事の中ではもっとも小さく安価で、そして数多く作ってきた品です。いつまで作りつづけられるかは分かりませんが、少しずつ変わりながら、長く削ることができればと考えています。

 

 なお、派生形の菓子切りである「月雲」と金箔を用いた「夕星」は、今後も展覧会等で不定期に登場する形になります。

 

 煤竹菓子切り「ささのは」、そして「月雲」「夕星」をこれからも宜しくお願い致します。