割れ目のある古い煤竹を結んで継ぐ方法を、今年は中国茶の道具づくりにおいてよく用いました。
「結い継ぎ」「結継ぎ」などと自分では呼称しています。
傷ついた器を漆を用いて修復する「金継ぎ」と呼ばれる技法が、近年再評価されています。私の場合には作る段階での話ですから、器になった後の修復とは少々事情が異なります。
はじまりが異なれば道順も異なるのは自然のこと。修復ではなく制作において、どう継ぐかについて、竹工芸家らしい方法として、編んだり組んだり、結んだりという籠づくりの考え方を引用しました。
竹片を漆で補強し、ときに応じて金箔をほどこした上で、パーツ同士を結びつけてゆく方法。これはいざとなれば結びを解くことができる可逆的な方法です。あるいは器に大きな力が加わった際には、いったん結び目が切れることで主要な部分を守ることができます。
一時的に切れたところは何度でも結んで蘇らせることができます。
割れや古い虫喰いのある竹を器物の素材として用いることについては、技術的なことよりもむしろ心理的な抵抗感がありました。
仕事の幅が広がって、あたらしい経験を積むとともに、今までは短所と捉えていた部分を長所として生かす道を得たのは、手先のみならぬ心の仕事だったと言えましょう。
その機微についての詳細は、秋に上海で行った個展の際のインタビューをご覧ください。私のインスタグラムの投稿から、インタビューの掲載されたギャラリーのアカウントにリンクがあります。(インタビュー内容を全文転載するのは私の好みではないので、お手数ですがご容赦ください)
私にとっては無理のない経緯によって自然と生じてきたやり方が、またひとつ増えました。来年以降もそこから何かが生まれるだろうと、期待しています。