長かった秋雨の時期はようやく過ぎたようです。晴天が戻ってきました。
夏から秋へと空気が入れかわるにつれ、花々が美しい姿を見せてくれます。春の勢いとはまた異なる落ち着いた風情はこの時期ならではのものです。
古材の煤竹を用いた掛花入にまだ蕾の杜鵑草を入れました。
垂直方向に伸びる細身の煤竹のライン、そして茎や葉、蕾とがいずれも上を目指しています。すくすくとしながらも端正で落ち着いた雰囲気になりました。
そして今度は同じ花入に花の向きを変えて。
先ほどとはかわって動きのある姿に。
竹の花入は軽いため、とくに細身のものでは自立させるよりも壁に掛けることに向いています。そして花入を壁に掛けることで、花を水平方向に立体的に生けることができるようになります。
壁の花には地面との直接のつながりはありませんが、あいだに竹の花入があることで、花入が花にとっての地面となり、壁や床、そしてその先にある大地と繋がります。
花とおなじく土から生まれた竹の花入は、住まいに花を生けようというときに家屋や大地とのよき仲立ちになるようにおもいます。